君だけは
    僕の夢を見て




昔々、神奈備 ( かんなび ) と呼ばれる場所がありました

そこに常緑樹で出来た神籬 ( ひもろぎ )

巨大な自然石で出来た磐座をたて、

神様を迎え、祭っていたのです


しかし、時が経つにつれ人々は

神を祭ることを忘れ

神の声を聴ける者もまた減っていきました


伝承者をなくすことを恐れた先人達は

『神の依代』同士を結ばせ

結して絶やすことの無い『血』をつくることにしたのです






刻は流れて現代

その一族にまた新たなる命が生まれました

同族間の婚姻を繰り返した『血』は

数千年の巡廻を繰り返し、ついに

『神籬』

と同等の力を手に入れたのです



その強靭な力に気がついた一部の者達は

その出現に恐れ戦き

そして

酷く落胆しました

彼が生まれたのは宗家ではなく

分家だったのです

跡を残すことの出来ない依代に

人々の落胆はやがて怒りになり、

子供はその地を追われていったのでした





やがて10年後

― 物語は始まる ―


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