「あ、あの・・・アバン・・先生?」

少年は、職員室の来客用のソファーに畏まりながら、隣でお茶を啜っている男に声をかける。

「なんでしょうか?ポップ君」

彼は、湯呑を机の上に置くと、なんでも聞いてくださいと笑いかけた。

「えっとですね、笑われるかもしれないんすけど・・・俺の目がおかしくなければあそこの席に――」

すっと指を向けると、アバンもそちらを向く。

「――ワニが・・・見えるんですが・・・」

アバンはポンッと手を打つと再び俺に笑いかける。

「えぇ、ワニが座っていますからねぇ。君の目は正常ですよ〜安心してください」

むしろ見えてない方がバッドですよ〜と彼は笑うが、自分にはそちらの方が有難かった。

「なんで職員室の中にワニがいるんですか!?」

ワニに聞こえたら怖いので小声で尋ねる。

「なんでって・・・うちの職員だからに決まっているでしょう!面白い子ですねぇ!」

いや、あんたの方がおもしろいよ・・・という声を飲み込み、もう一度尋ねる。

「なんでワニが職員なんですか?」

「あぁ!ポップ君が疑問に思ってたのはそこなんですね!」

やっと意思が通じたようだ。

「彼は体育の先生なんですよ〜だからちょっと怖く見えてもご愛嬌ですね」

残念ながら意思の欠片も通じてはいなかったが、取あえず食べられる心配は(多分)無いようだからおいておこう。

「さぁ、そろそろホームルームの時間ですし行きますか」

アバンが立ち上がったので自分も鞄を持ち立ち上がる。



しかし、少年は後になってわかったが、このワニ事件(命名ポップ)は

彼の転入先、パプニカ学園では

ただの序章に過ぎなかったのだ・・・・






「はいっ皆さん!今日はベリーグッドな転入生を連れてきましたよ〜!」

クラスメイトの視線がポップへ集中する。なんだかそわそわして落ち着かない。

「どうも!ポップと言います。転校してきたばかりなんで迷惑かけるかもしれないけどよろしくな!」

実は、今後の学校生活の中で一番迷惑を被るのは自分だったりするが今は知る由も無い。

「ん〜ナイスですねぇでは・・・席はどうしましょうか〜」

すると一番後ろの席に座っている少年が手を挙げた。

「はいはーい!先生!俺の隣が空いてるよ!」

少年の言葉通り確かにそこには空席がある。

「ちょっとダイ!そこは――」

「大丈夫だよレオナ、今日来るかもわからないんだし。明日にでもアイツの席を用意すればいいし」

どうやらポップの席はダイと呼ばれた少年の隣に既に決まっているらしい。

「そうですねぇじゃぁポップ君はダイ君の隣ってことで」

「やった!!」

いまいちノリについていけなかったポップであったがあの席はどうやら他の生徒のものだと

いうことは理解できた。

「いいんですか?誰か使ってるんでしょ?」

アバンはノープロブレムと指を振る。

「彼が来たらその時はそのときですよ」

どこがノープロブレムなんだ?

ポップは頭を抱えてしまう。と、その時


アバンストラッシュ アバンストラッシュ アバンストラッシュ

スピーカーから奇怪な声が流れた。

「おや、もぅこんな時間ですか。では授業に入りますのでポップ君、席へ」

どうやらあれはチャイムだったらしい。

「えっと・・・はい」



ポップは手招きするダイの方へ歩みながら、席の持ち主が来ないことをひたすら願った。







アバンストラッシュ アバンストラッシュ アバンストラッシュ

ようやく一時間目の授業が終わり、ほっと一息をつく。

「ねぇ!ポップはどこから来たの?!」

ダイがはしゃいで聞く。

「俺はランカークスってとこから」

「ランカークスって都会じゃない!!」

いつの間にか傍にいたレオナが驚きの声を出す。

「あぁ〜まぁな。でもここも良い所だよな」

でしょ!と誇らしげに微笑むレオナ。地元を誉められてか、ダイも嬉しそうに笑っている。

その後も他愛の無い話が続き、どうにか馴染めたようで安心する。




しかし、ポップンの安堵を嘲笑うかのように事件は二時間目に起きてしまうのだった・・・。


  続         



リク物なのに続いてしまいました・・・ヒュ●ケルさんは名前すら出てないし(なぜ伏せ字?)。

マーガ様・・・ごめんなさい!!私をダイ大に嵌めてくれた張本人のあなたなら許してくれると信じております(笑)

ちなみに、私は3年B組某八先生を見たことが無いので只の学園ものになってますが・・・・

そこは笑って見逃してください。では!(逃